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若林貴志税理士事務所

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2027年4月、食料品の消費税が1%に。農家の消費税はどう変わるのか

  • 若林 貴志
  • 3 時間前
  • 読了時間: 4分

2027年4月から、食料品の消費税率が1%に引き下げられる方向で政府の検討が進んでいます(2026年9月時点の政府方針)。ニュースでは「家計の負担が軽くなる」という切り口で語られることが多いのですが、農家にとっての意味はまったく別のところにあります。結論から言うと、多くの農家が「消費税を納める側」から「消費税が戻ってくる側」に変わります。この記事では、なぜそうなるのか、誰が対象になるのか、いま何を確認しておくべきかを整理します。


【消費税のしくみを、農家の数字で見る】


消費税は「売上で預かった消費税」から「仕入れや経費で支払った消費税」を引いて、差額を納める税金です。差額がマイナスなら、その分が還付されます。


農産物の売上は食料品なので、現在は軽減税率の8%です。一方、肥料・農薬・資材・燃料・農機の修繕・農機の購入など、農家の主な支出は標準税率の10%です。今でも「預かる税率8%、支払う税率10%」なので、経費の割合が高い年や農機を買った年は還付が出ることがあります。


これが2027年4月以降、預かる側の税率が1%になるとどうなるか。年商10,000,000円、課税仕入れ5,000,000円の露地野菜農家で試算すると、預かった消費税は10,000,000円×1%で100,000円、支払った消費税は5,000,000円×10%で500,000円。差し引き約400,000円が還付される計算になります。同じ農家がその年に税込5,500,000円のトラクターを買い替えると、トラクター分の消費税500,000円が上乗せされ、還付は約900,000円まで膨らみます。


つまり、食料品の税率が下がるほど、農家は「払った消費税のほうが大きい」状態が常態化します。これが「農家は消費税が戻る側になる」と言われる理由です。


【ただし、誰でも自動的に戻るわけではない】


ここが一番大事なところです。還付を受けられるのは「課税事業者で、本則課税(一般課税)を選んでいる人」だけです。


免税事業者(前々年の課税売上高が10,000,000円以下などで消費税の申告をしていない人)は、そもそも消費税の申告をしないので、還付もありません。簡易課税を選んでいる人も、支払った消費税を実額で計算しない仕組みなので、還付は受けられません。


農家の多くはこのどちらかに当てはまります。JA出荷中心で経理をJAや家族に任せている方、確定申告は所得税だけという方は、まず自分がどの区分なのかを確認するところから始めてください。


【還付を受けるための3つの前提】


1つ目は、課税事業者になること。免税事業者の方は「消費税課税事業者選択届出書」を、還付を受けたい年の前年末までに提出する必要があります。2027年分から還付を受けたいなら、2026年12月31日が期限です。年が明けてからでは間に合いません。


2つ目は、本則課税で申告すること。簡易課税を選んでいる方は「簡易課税制度選択不適用届出書」を、これも前年末までに出します。なお、簡易課税は一度選ぶと2年間は本則に戻れないという縛りがあるので、いつ選択したかの確認が必要です。


3つ目は、税率ごとに区分した帳簿と請求書を残すこと。還付は「支払った消費税の実額」を積み上げて計算するので、肥料の領収書、農機の請求書、燃料のレシートを、税率が分かる形で保存しておく必要があります。インボイス(適格請求書)の登録番号が載っているかどうかも、仕入税額控除の可否に関わります。


【気をつけたい落とし穴】


課税事業者を選択すると、原則として2年間は免税に戻れません。還付が出る年もあれば、経費が少なくて納税になる年もあります。数年分を並べて損得を考える必要があります。


また、体験農園の入園料や農家レストランの飲食、直売所で売る加工品の一部は、食料品の譲渡ではないため10%課税のままです。売上の中身によって「預かる消費税」が変わるので、同じ年商でも還付額は農家ごとに違います。


人件費、地代、共済の掛金、保険料といった消費税がかからない経費は、いくら払っても還付の計算には入りません。「経費が多いから還付も多いはず」とは限らないので、課税仕入れだけを抜き出して見る必要があります。


【いま確認しておくこと】


まず、直近の確定申告書と消費税の申告書(出していれば)を手元に用意して、次の3点を確認してください。


・自分は免税事業者か、簡易課税か、本則課税か

・2027年に農機や施設への投資予定があるか

・売上のうち、食料品以外(加工品、体験、飲食など)がどのくらいあるか


この3点が分かれば、還付が出そうか、出るとしていくらくらいか、届出をいつまでに出すべきかが見えてきます。届出の期限が年末に集中するので、2026年の秋から冬にかけてが判断のタイミングです。


【まとめ】


2027年4月の食料品税率1%は、農家にとって「消費税が戻る側になる」制度変更です。ただし、免税や簡易課税のままでは1円も戻りません。年末までの届出と、税率区分ができる帳簿が前提になります。


当事務所では、還付額の簡易試算を無料で行っています。直近の申告書と主な支出の金額が分かれば、目安の金額と必要な届出をお伝えできます。オンラインで全国対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。


※ この記事は2026年9月時点の政府方針に基づいています。法案の成立状況や経過措置の内容によって、時期や取扱いが変わる可能性があります。

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